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原状回復 東京

原状回復 東京の条例について

東京には約600万世帯の住居が構えられ、そのうちの25%が民間賃貸住宅です。
人口の流動が多い東京は、民間賃貸住宅が重要な位置を占めていると言えます。
民間賃貸住宅について多くのトラブルが発生しており、東京都はトラブルの防止目的として、平成16年10月1日より「東京における住宅の賃貸借に係る紛争防止に関する条例」が施行されました。
しかしながら施行後も「契約」や「退去時の敷金精算」などの相談が、毎年約2万件寄せられているのが現状です。
東京における住宅の賃貸借に係る紛争防止に関する条例の主旨は、宅地建物取引業者(国土交通大臣または知事から免許を受け、宅地や建物の売買・交換・貸借の代理もしくは媒介を行う者)が借主に書面を交付し、退去時の原状回復と入居中の修繕について、実用負担に伴う法律上の原則や判例により定着した考え方などを説明することを義務付けることです。
@退去時の通常消耗等の回復は、貸主が行うことが原則
A入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが原則
B賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項
C修繕及び維持管理などに関する連絡先
以上4項目の説明が義務づけられている条例の内容です。
未然にトラブルを防止するためには、借主が住宅の賃貸借についての実際の契約内容を良く知り、その相違の有無や内容を十分に理解したうえで契約することが必要不可欠となります。


原状回復 東京の修繕一般原則と特約について

東京における住宅の賃貸借に係る紛争防止に関する条例では、入居中の修繕と原状回復の一般原則と特約について説明する事を義務づけられています。
内容を理解する事でトラブル防止へ役立てられます。

原状回復の費用負担と一般原則

・経年変化及び通常使用で生じる損耗や劣化等の原状回復については、賃貸人の費用負担で行い、賃借人はその費用を負担しないとされています。
・賃借人の故意や過失、または通常使用方法に反する消耗や劣化等の場合、賃借人は原状回復費用を負担するとされています。

例外としての特約
・賃貸人と賃借人は、両者の合意により、退去時に置ける住宅の消耗や劣化などの原状回復について、一般原則とは異なる特約を定める事ができるとされています。
特約は全てが認められるものではなく、内容によっては無効とされることがあります。

原状回復の一般原則は、生活の中で自然に消耗してしまうものであり、一例として、部屋に貼ったポスターや日照によるクロスの変色、テレビや冷蔵庫の背面の電気ヤケは賃貸主の負担とされています。
故意や過失の一例では、犬や猫などのペットが付けた壁や柱の引っ掻きキズ、エアコンからの水漏れをそのまま放置して腐食させてしまった場合は賃借人の負担とされています。
特約では両者が合意すれば一般原則が覆る可能性もあります。
賃借人に課せられた原状回復義務には予め上限金額が設けられており、それを上回る負担金額は法律上の原則では無効となりますが、賃貸人と賃借人が次のような合意をすると覆ります。
@特約の必要性に加え暴利的でないなどの客観的・合理的理由が存在すること。
A賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えて負うことを認識していること。
B賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。
この3つの要件が必要となります。

修繕の費用負担と一般原則

・住宅の使用及び収益に必要な修繕については、賃貸人の費用負担で行うとされています。
・賃借人の故意や過失、通常使用方法に反する場合により修繕の必要が生じた時、賃借人がその費用を負担するとされています。

例外としての特約
・一般原則にかかわらず、賃貸人と賃借人の合意により、入居期間中の小規模な修繕については、賃貸人の修繕義務を免除するとともに、賃借人が自らの費用負担で行うことが出来る旨の特約を定める事ができるとされています。

修繕の一般原則は、賃貸人所有のエアコンや風呂の経年的な故障、雨漏りの不具合などは賃貸人の費用負担とされています。
故意や過失では、ボール遊びで割ってしまった窓ガラスや浴槽の空焚きによる故障などが賃借人の費用負担とされています。
特約では小規模な修繕として、電球、蛍光灯、給水や排水のパッキン取り替え、襖や障子紙の張り替え等が考えられます。

一般原則は基本的な事なので覚えられますが、特約は賃貸物件によって異なります。
特約の内容を十分理解しないと、一般原則が通じないためにトラブルを招きやすくなります。
対策としては契約時に実例をいくつも挙げてもらったり、納得がいくまで説明を求めることがトラブル防止に繋がります。

東京の原状回復トラブル防止ガイドライン

借りてた家から退去する時、原状回復が必要となります。
借主に課せられた原状回復の義務とは、退去の際に、借主の故意・過失や通常の方法に反する使用などによって生じた住宅の損耗やキズ等の原状を回復することであり、その回復に要する費用を負担するのが原則です。

経年変化や通常使用による損耗・キズ等の原状回復は、貸主の負担で行うことが原則です。
また、貸主と借主の合意により原則とは異なる特約を定める事ができます。
したがって契約時は、貸主又は仲介業者は借主に対して、原状回復に関する説明を十分に行い、双方が正確な認識をすることがトラブル防止に繋がります。
原状回復について考える際に大事なことは、部屋を借りた期間により価値がどれくらい減少したのか、どういう理由で減少したかを把握することです。
東京のガイドラインでは価値の減少をわかりやすいように3項目に分けています。
@経年変化による自然的な劣化や消耗
A借主の通常使用により生じた通常消耗
Bそれ以外の理由からなる消耗
このうち@とAは家賃に含まれており借主の原状回復の義務はないとするのが原則です。
また、経年劣化による建物や部屋のグレードアップする場合においても貸主の負担となるのが原則です。

借主が負担すべき原因としては「故意・過失」「通常の方法に反する使用」が主にありますが、もう一つ「善良なる管理者の注意義務」というものがあります。
他人の物件を借りている間、借主は契約終了時の明け渡しまで、相当の注意を払って部屋を管理しなければならないと民法で規定されています。
これに反した場合は、貸主より原状の回復を求められ、借主の負担とされることがあります。
通常損耗であっても、借主が損耗部に対して放置したり、手入れを怠ったことが原因で、損耗の発生や拡大した場合には、善良なる管理者の注意義務に違反したと考えられます。
したがって、借主は物を正しく使うだけでなく掃除や手入れを欠かさず行う事、入居中の修繕が必要な時は連絡をこまめにする事などが、退去時の原状回復トラブルを未然に防ぐことへ繋がります。
入居中の修繕は自己判断で行うと後々のトラブル原因となるので、必ず貸主や管理会社に早めの連絡を入れましょう。
対応方法についての相談ももちろんですが、時間が経ってからだと、修繕が必要となった原因が、経年変化や通常使用によるものなのか判断が難しくなってしまうので、どちらが負担すべきかでトラブルを招きやすくなります。
また、経年変化は曖昧であるため、それぞれの建具や設備等に経過年数が予め定められており、これからも借主の負担割合が変化していきます。

経過年数の考え方としては、借主の故意・過失、善良なる管理者の注意義務を反した場合による損耗や劣化は、貸主の負担が原則ではありますが、全額の負担をしなければならないわけではありません。
例えば、カーペットの一部を過失で破損させてしまった場合、破損したカーペットの交換費用は貸主の負担が原則です。
しかし、破損したカーペットにも経年変化や通常消耗しているので、その分の費用は貸主の負担となるので、借主は補修費用からその分を差し引いた金額の負担となります。
また、入居期間が長いほど、経年変化や通常消耗があるはずであり、入居期間の長さに関わりなく修繕費が同額となるのでは不公平になります。
そこで国土交通省が平成23年8月に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂)」をとりまとめました。
法人税法等における減価償却資産を参考に、建物や設備、建具などが耐用年数を経るのとともに、経過年数が考慮され借主の負担割合は減少し、最後には残存価値が1円となるように理論上考えられてます。
たとえ1円の価値になったとしても、借主には善管注意義務があるので、故意・過失による破損の場合は本来機能していた状態に回復する費用の負担が必要になることがあるので、粗末に扱っていいわけではありません。
また、障子や襖などの紙や畳表の張り替えは消耗品としての性質が高いので、経過年数の考え方は考慮されず、破損時は借主の負担とするのが妥当と考えられます。
同時に部分的な補修も、つぎはぎになるなどして全体的価値の上昇に繋がらない事から経過年数を考慮しないことが合理的であると考えられます。

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